2022.06.28(火)
「一休.com」事業部長に聞く、磨き続けてきたサービスの強みと進化
「一休.com」は、オンライン宿泊予約の黎明期であった2000年にサービスを開始し、“ワンランク上の旅行体験”に特化したユニークな価値を提供し続けてきました。今では宿泊予約の半数以上がインターネット経由といわれる成熟した市場のなかで、今後はどう進化していくのでしょうか?事業部長の巻幡さんに聞いてみます!
▲巻幡 隆之介さん(執行役員 第二宿泊事業本部長)
1981年生まれ、東京都出身。2007年に株式会社一休へ入社。2016年にレストラン事業本部長に就任し、2019年より宿泊事業本部長を務める。
――ズバリ!一休.comの目指すゴールを教えてください
一休のコンセプトである「こころに贅沢させよう。」を、世の中に増やすことがゴールです。そこを目指して、上質な宿×旅行が大好き!というユーザーに照準を絞ってサービスを磨き続けてきました。高級な宿を予約するなら一休が使いやすいよねと感じていただき、たくさんの「こころに贅沢」な時間を提供していきたいです。
――近年は、他のオンライン予約サイトもハイクラス領域に力を入れているように思いますが、競合他社との違いはどんなところにありますか?
そもそも、「ハイクラスもやる」のと「ハイクラスしかやらない」のは違うものだと思っています。僕たちは上質な宿を予約したいユーザーのことだけを考えてプロダクトを開発しているので、一点突破できるということが強みなんです。その一点を磨けば磨くほどユーザーを満足させることができる。そこが、幅広いユーザーをターゲットとされているサイトとの違いですね。
――旅行業界のなかでも、そもそもが尖ったサービスなんですね。ところで、一休.comはコロナ禍で苦戦した業界にいながら業績を維持してきたと聞きましたが、本当ですか?
本当です。むしろ、コロナ前の2019年と比べて業績は伸びています。旅行業界のなかでいうと、いい意味で"変な状態"なんですね。当然、一般的には非常に苦しい時期でしたが、旅行が大好き!という方々をターゲットにしてきたことが、偶然にもこのような"変な状態"を生み出しました。コロナのない世界では、一年に一回しか旅行をしない方もターゲットにした総合的なサービスの方が規模で言うと大きく、一休のような高級特化は規模が小さくなります。ただ、コロナ禍では、旅行好きな人以外は旅行をしなくなりました。僕たちのお客さまは、コロナ禍でもステイホームの延長線上としての旅行をし続けてくださっていたのです。特に人気があったのが自宅から車で2時間くらいのリゾートエリアだったのですが、家族で車に乗って、旅館のお部屋で食事をして、客室の温泉につかってのんびり過ごす……もう家が移動している感じですよね?こんな風に、不安なく上質な時間を過ごしてもらえていたわけです。これは狙っていたわけではなく、たまたまコロナ前よりこの市場に特化していたことが大きな要因になっています。
――なるほど、高級宿×旅好きに特化してきた結果なのですね。具体的にはどのようにサービスを磨いてきたのですか?
たとえば、ユーザーにとっての“心地よい予約体験”の部分です。一休.comでは、日本を代表するような素敵なホテル・旅館の情報をたくさん提供していますが、ユーザーに届ける情報は個々に違います。その方の予約や閲覧履歴に基づきパーソナライズされた情報を、検索結果やメルマガとして届けているんです。今後は、検索体験をもっと豊かにしていきたいなと考えています。たとえばAmazonやGoogleのように、ユーザーが直感的に打ったキーワードであっても、そこから適切な検索結果に導くことができれば、今よりもっと心地よい予約体験を提供することができますよね。
――Amazonのように旅行を検索できるようになったら素敵ですね!「営業」として変わっていくことはありますか?
営業側でもDX化に力を入れていくので、宿泊施設の集客課題解決に対する介在の仕方が変わっていくと思います。これまでは宿泊施設の集客の悩みを聴き、それに対して営業が個々の課題解決能力を発揮することで貢献してきました。ただそれだと、課題解決のための“商品”がユーザーに届くまでにタイムラグが生じてしまうんです。なので、プランの販売フローをデジタル化することで、宿泊施設が抱えている集客課題をよりタイムリーに解決できるようにしていきたいと考えています。営業としては、宿泊施設がそのプロダクトを活用できる仕組み自体をつくることで、介在価値を発揮できるようになっていくのかもしれません。
――新しいチャレンジであり、厳しさでもありますね
そうですね。オンラインの宿泊予約市場は成熟しているので、営業の貢献度が見えづらくなっていると思います。商品やサイトがいいから売れたのか、自分の力で売ったのか……。そうなると、競争力の源泉は商品のユニークさから顧客体験の良さに変わっていくので、そのなかで営業としてどうバリューを提供していくかというのは自分自身で考えて行動していかなくてはなりません。DX化に携われることは一つのチャンスで、この変化の先でどうクライアントに貢献していくかを探していくというのは、ある意味楽しさであり、厳しさでもあると思いますね。
――最後に、一休.comに携わる“おもしろさ”を教えてください!
一休.comは、一休のなかで一番歴史の長い基幹事業だということです。創業まもない2000年に宿泊事業をスタートさせ、以降はレストランやスパをはじめとしたさまざまな新規事業を立ち上げてきている会社ですが、そのなかでもトラディショナルなサービスに携わるというのは意味のあることなんじゃないかな……。一番成熟しているからこそ変化しなくちゃいけないこともありますし、他の事業にスピンオフできることもあります。そういったことが一休.comに携わるおもしろさだと思いますね。
巻幡さん、ありがとうございました!
ターゲットを明確に絞って磨いてきたサービスなんですね。成熟した市場ならではのチャレンジングな部分に携わることで、事業とともに個人としても成長していくことが求められますね。巻幡さんには、ここには書き切れないおもしろいお話をたくさんお聞きしたので、興味のある方はぜひご連絡ください。カジュアル面談も大歓迎です!
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