旅行やレストランの予約は、人生を豊かにする特別な体験です。
株式会社一休は、そんな「こころに贅沢」な時間を提供するサービスを運営しています。
今回は、一休のサービスを支えるマーケティング部で活躍する土屋美佐子さん(チーフディレクター)との対談をお届けします。
一休のマーケティングディレクターは、一体どんな役割を担い、日々どのような仕事をしているのでしょうか?そのリアルな声から、業務の魅力ややりがい、そして求める人物像に迫ります。
土屋さん: 現在、一休のマーケティング部は宿泊事業本部とレストラン事業本部の2つの事業部に分かれており、それぞれにマーケティングディレクターが所属しています。
具体的には、「一休.com」や「一休.comレストラン」、さらには「PayPayグルメ」「Yahoo!トラベル」といった、各サイトにおけるユーザー向けの戦略策定から、サイトのUI/UX改善、CRM施策まで、ユーザー体験全般の責任を担っています。
施設様向けの施策も行いますが、最終的にはそれがユーザーにどう提供されるかが軸になりますね。
インタビュアー: なるほど。ユーザー体験の向上に特化した役割なんですね。現在、人数構成としてはどうなっていますか?
土屋さん: 3名体制で行っています。レストラン事業本部は私が責任者をしており、宿泊事業本部は事業本部長が担当をしています。そして、もう1名が宿泊とレストランの両方を兼務しています。
土屋さん: マーケティングディレクターは、ルーティンワークが毎日あるわけではないんです。もちろん、メルマガ運用など毎日決まったタスクがあるメンバーもいますが、私の場合は現状の課題やプロジェクトベースで動くことが多いですね。
同時に複数の案件が並行して動いていて、それぞれのプロジェクトのフェーズによってやるべきことが日々変わります。例えば、ユーザー画面の仕様を集中して考える日もあれば、データに深く触れて課題を見つけることに時間を費やす日もあります。いろいろなことが並行して進むので、一日の中で多様な業務をこなしていくイメージです。
インタビュアー: だいたい何個くらいのプロジェクトが並行して進んでいるのですか?
土屋さん: レストラン事業本部の場合、大きな案件が2〜3件ほど常に動いています。それに加えて、サイトのデザイン変更やキャンペーン企画といった細かな案件が常に挟まってくる形ですね。
インタビュアー: なるほど。課題はどのように発見されるのですか?
土屋さん: 小さな課題であれば、私自身がサイトを触っていて気づくことも多いです。マーケティング部にいるとユーザー画面に触れる機会が多いので、使いづらい点などには気づきやすい環境にあります。
また、「ユーザージャーニーを見る会」を定期的に開催しています。ユーザーがどのような行動で予約に至ったか、あるいは至らなかったかをウェブ上の遷移データから分析し、「この行動は不快を感じているよね」「使いづらくてこんな行動をしてしまっているね」といった気づきを得るきっかけになります。その他にも、半年に1回ほどの頻度ですが、ユーザーインタビューを行うこともあり、そこから深掘りして課題を見つけることもありますね。
インタビュアー: ユーザー目線での気づきが多いのですね。課題の発見があった場合、承認プロセスはどのように進むのですか?
土屋さん: 内容によりますね。本当に細かいことであれば、事業本部長や社長の許可を取らずに進めることも多いです。例えば、「ブラウザバックしたら検索条件が外れてしまうので保持するようにする」といった改善は、いちいち許可を得る必要がないですよね。工数との兼ね合いを見ながら、開発側と相談して良いタイミングで実装を進めます。
ただ、やりたいことは無数にあるので、優先順位付けが重要になります。
インタビュアー: 優先順位はどのように決めるのですか?
土屋さん: 主に「効果やペインの大きさ」で判断します。もちろん、大きな問題であれば工数に関わらず最優先で対応しますが、それ以外は、その改善によってどれだけのユーザーが影響を受けるのか、その経路をたどる人がどのくらい多いのか、といった視点で優先度を決定します。
インタビュアー: では、事業本部長や社長の承諾が必要となるのはどのようなケースですか?
土屋さん: 対施設に影響が出る場合や、ユーザー体験が大きく変わる場合、そしてコストが発生する場合は、事業部長や社長にもしっかり相談し、承認を得てから進めます。

インタビュアー:今後、 新しくマーケティングディレクターとして入社をされる方が、入社直後から1年後、2年後と、どのような経験を積んでいけば良いか、モデルケースがあれば教えていただけますか?
土屋さん: 入社していただいたら、まずはご自身でデータを見て、今のレストラン事業本部や宿泊事業本部で「やるべきこと」を探し、提案してもらう期間を設けたいと考えています。過去に入社された方も同様でした。
最初の1ヶ月間は、自由にデータ分析に取り組んでもらって構いません。もちろん、ドメイン知識がないのは当然なので、必要な情報は提供します。その上で、ご自身のやりたいことを自由に提案していただきます。もし、それが「やるべきだ」と判断されれば、それが初めての仕事になります。もしそうでなければ、こちらから仕事をお渡しする形ですね。
インタビュアー: なるほど、1ヶ月で提案ですか。プレッシャーですね!
土屋さん: そうかもしれません(笑)。でも、最近入社してくださる方は能力が高い方が多いので、最初から型にはめるよりも、ご自身が見つけて「やるべきだ」と思ったことに取り組んでもらう方が、その方の能力を最大限に活かせると考えています。
1年後、2年後となると、当然ご自身で分析・提案する活動は継続しつつ、その事業にとって何が必要かを常に考え、施策を打ち続けていく形になります。その中で、サイトのユーザー向け施策を「この人に任せよう」と言われる存在になれれば素晴らしいですね。
インタビュアー: 現在、2〜3個の大きなプロジェクトが動いているとのことですが、具体的に公にできる範囲でどのようなものがありますか?
土屋さん: レストラン事業本部で、リリースになったばかり(2025年8月4日)なのですが、店舗が自社の負担でポイントを付与できる機能を開発しました。
それに加えて、直前予約を取りやすくするための仕組みを導入するプロジェクトなども動いていますね。
インタビュアー: 店舗が独自でポイントを付与できる仕組みはリリースされたばかりですよね!このプロジェクトに土屋さんはどのように関わってこられたのですか?
土屋さん: 社長や事業本部長と一緒に「どのような課題があるのか」「どこをターゲットにするべきか」といったディスカッションから参加をしていました。レストラン事業本部の課題や伸びている点について分析し、議論を重ねて方向性を決めていくんです。
過去の一休.comレストランのポイントプログラムは、レギュラー会員の場合、予約金額の1%しかポイントがつかず、「ユーザーへの還元率が低いのではないか?」という課題がありました。そこで、まずは2025年の4月に還元率を高くできるように仕組みを変更しました。
次に、接待やビジネスディナー、歓送迎会など、複数名の予約のシーンではお店選びや日程調整など、幹事の方が大変な思いをされます。そこで私たちは、幹事の方が「予約してよかった」と思えるような仕組みが必要だと考えました。
具体的には、幹事の方が喜ぶベネフィットとして、ポイントが沢山もらえるようにしたいと思い、それを実現する仕組みを導入することにしました。店舗の費用負担は発生しますが、集客に繋げる施策として有効活用していただけると考えています。
具体的な機能要件については、エンジニアやデザイナーと膝を突き合わせて議論し、ユーザーページでの見せ方なども含めて仕様を決定していきます。仕様が決まれば、基本的には開発チームに任せ、相談があった場合のみ、判断を都度行います。
そして、完成した段階で最終チェックを行い、想定通りの仕様になっているか、ユーザー体験はどうかなどを確認し、必要であれば営業チームへの説明資料作成なども行います。
企画の初期段階からリリース、そしてその後の運用まで、一貫して深く関わる形ですね。
インタビュアー: 上流から下流まで、本当に一貫して関わるんですね。この規模のプロジェクトだと、開発期間はどれくらいかかるものなのでしょうか?
土屋さん :今回のポイント付与の仕組みだと、企画から開発まで含めても半年かからないくらいですね。非常にスピーディーに進んでいます。
インタビュアー: すごく早いですね!驚きました。ちなみに、2025年3月のPayPayグルメのリニューアルにも土屋さんが関わっていたと伺ったのですが?
土屋さん: はい、PayPayグルメのリニューアルにも関わりました。基本的には、一休.comレストランを土台として、PayPayグルメの特性に合わせた細かなUI/UXの調整が中心でしたね。
例えば、一休.comレストランとPayPayグルメでは、画像の表示方法が異なります。複数の画像で店舗の特徴が分かりやすく伝わるような見せ方に変更しました。PC版の店舗詳細ページをご覧いただくと、画像の表示形式が異なることが分かるかと思います。
インタビュアー: そうだったんですね!細かい部分にまでこだわりがあるんですね。過去には、Yahoo!トラベルのリニューアル時も同様に担当されたとのことですが、特に難しかった点や悩んだポイントはありますか?
土屋さん: そうですね、例えば、Yahoo!トラベルではビジネスホテルのご掲載も多いのですが、ユーザー視点で見ると、写真だけでは差別化が難しいという課題がありました。そこで、大浴場の有無や駅からの距離といった、ユーザーが比較検討しやすいスペックをアイコンで分かりやすく表示する、といった工夫をしましたね。
インタビュアー: それは良いアイデアですね。確かに、アイコンがあるだけで一目で比較できますもんね。そういう細かな工夫の積み重ねが、ユーザー体験を良くしていくんですね。
インタビュアー: 今のお仕事をしていて、一番「やってよかった」と感じるのはどんな時ですか?
土屋さん: やはり施策がうまくいった時、数字が伸びた時ですね。やったことが成果につながると、心から嬉しいです。その時は意味がなかったように見えても、後々他の施策と繋がって大きな成果を生み出すこともあります。
インタビュアー: 逆に、マーケティングディレクターとして「挫折」と感じた経験はありますか?
土屋さん: 明確に覚えている一番辛かった時期は、レストラン事業本部から宿泊事業本部のマーケティング担当に異動してしばらく経った頃ですね。なかなか良い打ち手が見つからず、何をしていいか分からない時期でした。色々とやりたいことはあるのに、「それでどれだけグロースするの?」と問われた時に、「これをやれば確実にグロースする」と言い切れるものがほとんどなかったんです。
ちょうどその頃、社内では「デジタルマーケティング」に注力をしており、マーケティング部に割り当てられるリソースが少なく、少人数で成果を出さなければならないというプレッシャーもありました。今のリソースは当時よりずっと恵まれていると感じます。
インタビュアー: 多くのプレッシャーがかかった時期だったのですね。
土屋さん: そうですね。今はUIもかなり洗練されてきていて、大きなマイナス点が減ってきています。当時のようにUI上の致命的な課題が山積しているわけではないので、その点は大きく違いますね。ただ、「無駄なことをするな」というプレッシャーは今も常にありますし、そこを自分で見極めることが重要です。
また、予算についても「これだけ使っていいよ」と明確に与えられているわけではありません。全ての案件で、効果が見込めることを前提に、その効果をしっかりシミュレーションし、事業本部長や社長に説明して承認を得るという形で進めます。

土屋さん: 一休.comや一休.comレストランのような大規模サイトは、多くの人数で運営されているように見えるかもしれません。しかし、実は一休は少人数精鋭で運営されており、さらに中枢の意思決定者は非常に少数です。事業本部長や社長のような存在とも密接に関わりながら、事業の方向性や進むべき道を、すぐに決めて動かせる環境にあります。
これは世の中でもなかなか経験できない仕事の醍醐味だと思います。責任はもちろん大きいですが、それ以上に大きな仕事を生み出す楽しさがあります。入社される方には、想像以上に期待しています。その方一人で、会社やサービスが変わる可能性すらある、そんな大きなインパクトを生み出せるポジションだと考えています。
この対談を通して、当社のカルチャーや目指す方向性について、より深く理解していただけたでしょうか?
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