一休が描く「未来」についてのインタビュー
このシリーズでは、一休の事業を推進するキーパーソンたちの言葉を通して、大切にしている想いやカルチャーをお伝えします。
今回スポットを当てるのは、Yahoo!トラベルの「空室待ち機能」。多くのユーザーから期待されながらも、優先順位の関係で実現が難しかったこの機能を、山岸さんは当時活用が進み始めていた AI コーディングを積極活用することで、サブプロジェクトながら1ヵ月という短期間で形にしました。 開発の舞台裏と、それを支える一休のチームワークについてお話を伺いました。
※Yahoo!トラベルは、LINEヤフー株式会社のサービスです。
運営・開発については、LINEヤフー株式会社から一休に委託されています。

山岸 昂介さん
株式会社一休 宿泊事業本部 プロダクト開発部 ユーザー向け開発チーム
2022年 株式会社一休 入社。現在は一休.com・Yahoo!トラベルのバックエンド開発を中心に、ユーザー体験の向上に努める。
インタビュアー: 今回実装された「空室待ち機能」、ユーザーの皆さんからとても喜ばれていますね。もともと一休.comにはあった機能ですが、Yahoo!トラベルへの導入は念願だったと伺いました。
山岸さん: はい。以前から多くのご要望をいただいていましたが、他のプロジェクトとの兼ね合いもあり、なかなか着手できずにいたんです。転機となったのは、宿泊事業本部 本部長の花房さんとのランチでの雑談でした。「盛り上がりつつある AI コーディングの適用先として、Yahoo! トラベルの空室待ちはどうか?」という提案を頂いて、そこから一気に動き出しました。
インタビュアー: 効率化の手段としてAIを徹底活用する。一休らしい、柔軟な試みですね。
山岸さん: 今でこそ当たり前となりましたが、当時 AI を実務でどこまで活用できるかは手探りの状態で、技術の可能性を確かめる良い機会だと捉えました。花房さんも「まずはやってみよう」と背中を押してくれたので、確実性を積み上げる従来の手法とは別に、好奇心を持って新しいプロセスに踏み出すことができました。
インタビュアー: 具体的に、AIをどのように開発に組み込んだのでしょうか。
山岸さん:当時、言われはじめていたのは、「AI をこれまでのような助手席のナビゲーターという立場ではなく、運転手として捉えるようにする」という話でした。この試みもまさに、AI を補助としてではなく、メインのコードの書き手として捉えるものです。
当時としては任せたことのなかった、一休の持つ複雑な業務知識・システム構造を理解するところから AI にやってもらい、Yahoo!トラベルへの機能移植に向けた影響範囲の特定や、具体的な実装まで進めてもらいました。
インタビュアー: 調査の段階から、AIと対話しながら進めたのですね。
山岸さん: そうですね。驚いたのはそのスピードで、通常なら数ヶ月かかると見積もっていた基盤部分が、約1ヶ月で形になりました。ただ、スピードが上がった分、「自分で一行ずつ書き進める感覚」とは異なる戸惑いもありました。便利だからこそ、エンジニアとしてどう責任を持って品質を担保するか、改めて考えるきっかけにもなりました。
インタビュアー: 新しい手法だからこその難しさを、どう乗り越えたのですか?
山岸さん: AI と自分で開発が完結するため、これまでのようにチームで取り組むわけではなくなります。その分、勢いみたいなものを得づらかったり、前述したような、自分で書いていないコードに対する不安のようなものを「これでリリースするぞ」という自信を得るところまでもっていくのに苦労しました。
その点では、当時としては新しい取り組みではあったので、CTO の伊藤さんが似たようなチャレンジをしているメンバーを集めてカジュアルな共有の場を作ってくれたりしたことで、「盛り上がり」みたいなものを感じられて、ありがたかったのを覚えています。
また、どうしてもリリースに対して慎重になってしまっていた時期には、デザイナーの河村さんが「これ、早くユーザーに届けたいですね」とポジティブな期待を向けてくれたり、背中を押してくれたことが、リリースに向けての大きな後押しになりました。
最終的には、どうしても自信が得られなかった部分については自分で書き直すなどもして、リリースに踏み出すことが出来ました。
インタビュアー: 役職や職種に関係なく、フラットに応援し合う空気感があったのですね。
山岸さん: はい。「ビジネスサイドとエンジニアの境界線のなさ」は一休の大きな強みです。宿泊事業本部 本部長の花房さん自身が一休のヘビーユーザーなので、「この機能は後から追加でも、まずはこの価値を届けよう」といった判断が非常にスピーディーで適切なんです。
今回の取り組みにおいても、AI コーディングに対する不安はあったので、出来るだけ初期リリースのスコープは小さくしたい部分があったのですが、その際の相談でも、非常に心強かったです。

インタビュアー: リリース後、ユーザーの反応はいかがでしたか?
山岸さん: 一休.comとYahoo!トラベルでは、同じ機能でも使われ方が異なるという興味深い発見がありました。一休では、なかなか在庫の出ない希少な宿に対して利用されている一方で、Yahoo!トラベルでは、例えば大規模イベント時の周辺ホテル確保など、より日常に近いシーンで活用されていることがわかりました。
インタビュアー: 実装したことで、ユーザーが本当に求めていたものが見えてきたのですね。
山岸さん: はい。一休にはビジネスサイド・エンジニア問わず、自らSQLを叩き、数値に基づいて判断する文化があります。「ユーザーのためになるか」を最優先に考える思想が浸透しているからこそ、技術的な挑戦も迷わず進められるのだと感じます。
インタビュアー: AIが進化する中で、これからのエンジニアの役割はどう変わると思いますか?
山岸さん: 当時から現在までの間でも、AI との関係は急速に変化し続けていて、今後のことは正直わからないところも多いなというのが本音です。ただそんな中でも、花房さんをはじめとして、「こんな未来を作りたい」という意思を持つということは、人間にしか出来ない、大切なことなんだなと改めて感じています。今後も AI との関係は変化していくとは思いますが、自分としては、その意思を持ち、それを実現するために、技術を使いこなしていきたいなと思います。
インタビュアー: 道具に使われるのではなく、目的のために道具を選ぶ、ということでしょうか。
山岸さん: そうですね。コードを書くこと自体を目的にするのではなく、サービスをどう進化させたいかという意思を持って AI を使いこなしていきたいなと思います。
AIという新しい技術を、ユーザーに価値を届けるための「最高の相棒」として迎え入れた山岸さん。その挑戦を支えていたのは、一休が大切にする「ユーザーファースト」な想いと、仲間との信頼関係でした。一休の「攻めの姿勢」と「柔軟さ」が伝わる、温かいインタビューとなりました。
「ユーザーファースト」の想いに共感し、共に宿泊業界やレストラン業界の未来を創っていく仲間を心待ちにしています!
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